上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
自分で話していても寒気というか全身総毛立つような感覚は
ますます研ぎ澄まされていました。
他にも色々話したような気がしますが、
なにぶん随分以前の事なので内容は忘れてしまいました。

当時の私は、今ほど・・・まぁ今もそれほどあるとは言えませんが
そのような体験もほとんどなかったので人から聞いた話が大半でした。
そんな私がこの晩、その後、こらから書くような体験をするとは
この時点では夢にも思いませんでした。

時間を見ると1時を少し回っておりました。
丑三つ時も近づき大分酔いも回ってきていましたので
『眠くなってきたしそろそろ寝るべか』
と私が言うとシゲちゃんは
『俺、帰る・・・』
『えぇー!、おれのテントでなら寝られるじゃん!
まぁ、おめぇは呑んでねぇからいいけど・・・途中の道おっかねぇじゃん』
『だいじょうぶ、だいじょぶ、明日の朝また来るね』
と言い残しシゲちゃんは車に乗り込み帰っていきました。

残ったO君と私は
『えぇー!ほんとに帰ったよ、こえぇなぁ~。あいつはあほだぁ~!
いやぁ~、しかしO君の話はこえぇわ!
んじゃまぁ寝るべか、面白かった!またやろうね!』
『そうですなぁ、寝ましょ。寝ましょ。』
と各々のテントに入り眠る準備をはじめました。

私のテントは一応3~4人用、O君のテントは芋虫と言うか
モスラみたいな形をした1人用のテントで
2張りのテントの間隔は1mあるかないかでした。
O君の方へ足を向けて眠るのも何だか申し訳ないような気がしたし
何となく心細いのもあって頭をO君のテントのほうに向け
頭と頭をつき合わすような形でシュラフ潜り込みました。

ナイロンの薄い布切れ1枚でも(フライシートもあるんで厳密には2枚だけど・・・)
テントに入ってシュラフにもぐりこんで横になっていると
蓑虫みたいに全身を包まれている感じと暖かさもあって
不思議と安堵感がわいてくるものです。

隣と言うか頭の1mほど先のO君のテントからも
眠る準備をしている衣擦れの音が聞こえました。

先程までの恐怖体験の話しもあえて頭から消し去り
他の楽しい話など想い出していると酔いも手伝って
かなりいいご機嫌になってきましたので
さぁ寝るかと灯りを消しました。
O君も既に灯りを消していたようで、途端にテントの中も
薄い生地のテントの外側と同じ漆黒の闇に包まれました。


『ぼそ・・ぼそ・・』


O君のテントから、ほんとうに微かで小さな呟きが聞こえました。

『何か言ったぁ?』
『・・・・・。』

返事はありません。

『何か言ったぁー?』

『・・・・・。』


やはり返事はありません。

風もないようで水路を流れる水音が近くの山にこだまの様に響くだけで
あたりは静寂に包まれています。

『なんだぁ、寝ちまったのかぁ?、まぁいいや』

と、ぶつぶつ呟きながら、さして気にも留めず
酔いと疲れで私はいつしか深い深い眠りへと落ちていきました。

翌朝、外の気配で目が覚めテントの外へ出ると
既にO君は身支度を整え朝食を作ろうと準備しているところでした。
のそのそと起き出てきた私に気づいたO君が
『あっ、おはようございます』

『お・は・・よう、いやぁ呑みすぎちゃった』

『僕もですわ、それよりこじさん、夕べあん時、
ガーンてドラム缶叩くような音聞きませんでした?』

『えぇ~??聞いてねぇよ、
それよりO君なんかぼそぼそ言ってなかった?』

『いえ、こじさんが僕に聞いたの聞こえてたけど
僕、もうヤバイと思ったから何もしゃべらんと
とにかく早く寝ようとだまっとたんですわ・・・
それよりほんとに聞きませんでした? ガーン て音・・・』

『いや、それよりほんとに何も喋ってなかったの・・・?』

確かに私達がテントを張った5、6m先の小屋の軒下には
ドラム缶が2本ほどありました。
実家の家業の関係でドラム缶の中の空気と外気の温度差から
夜など『ボーン』と鳴る事は小さい頃から知っておりました。
しかし、その2本のドラム缶はドラム缶風呂の為
上の蓋を切ってありました。
中の空気が収縮したり膨張する状態ではありません。
それに空なら何かが当たった拍子に(何が?)
『ガーン』と鳴ったかも知れませんが2本とも水を8分目ほど
入れてありました。
ためしに叩いてみましたがO君が聞いたような音ではありませんでした。

それより何より、たかだか1mほどしか離れていない状態で
各々1人が聞き1人が聞いていない・・・音と声
思わず背筋に水を打たれたようにゾーっとなりました。

そんな話しを2人でしていると夕べ帰ったシゲがやって来ました。

お互いが聞いた音と声の話しをシゲにすると、
『夕べこじさんのテントの向こうから
何か黒いものがこっちを覗ってたよ・・・』
するとO君も
『僕も言わなかったけど何となく後ろの方から、視線ちゅうか、
誰かに見られてるような感じしましたわ・・・』

爽やかな朝日の中で私は昨夜にも先程にも増して全身総毛立ちました。
本当の恐怖感とは、その事が起きている時でなく、
後から来るものだとその時初めて知りました。
Secret

TrackBackURL
→http://kojizou.blog25.fc2.com/tb.php/418-adbbcdd3
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。